令和6年度農山漁村女性活躍表彰 開催レポート

1. 全体概要

2025年3月6日(木)、東京都文京区の東京大学弥生講堂一条ホールにて、「未来農業DAYs2025」が開催されました。

「未来農業DAYs」は、農林水産業の未来を担う若者や女性の農林水産業者等の取組を表彰・支援するイベントです。未来の農林水産業の中心となる若者・女性の画期的なアイデアや日々の努力にスポットを当て、その取組を社会に広く発信することを目的としています。

「未来農業DAYs2025」前半では「令和6年度農山漁村女性活躍表彰」が行われ、農山漁村女性の力強い活動が報告され、後半の「大地の力コンペ」では、主に農業高校生の皆さんの意欲的な取組が紹介されました。「令和6年度農山漁村女性活躍表彰」受賞者によるトークセッションや「第9回大地の力コンペ」のファイナルプレゼンテーション等を実施しました。未来の農業の明るさを感じさせる充実した内容でした。そんなイベントの様子をレポートします。

2. 開会挨拶

はじめに、未来農業DAYs 実行委員長の納口るり子氏による開会挨拶がありました。

「これまでの農林水産業界は、分かりにくくて排他的であると思われがちでした。しかし、実際に農林水産業に携わる方々は、農林水産業を国民の皆様により深く理解していただこうと、さまざまな取組をされています。近年、食や農林水産に関する話題が、メディアを通じて消費者の皆様の目に触れることも多くなりました。ようやく多くの視線が農林水産業に向けられるようになったことを、感慨深く思います。本日の未来農業DAYsの開催により、農林水産業と関連産業が、さらに輝かしい発展を遂げることを願っております。」

3. 令和6年度農山漁村女性活躍表彰

ショートムービー上映

「令和6年度農山漁村女性活躍表彰」に先立ち、受賞者の皆さんの取組を紹介するショートムービーが上映されました。受賞者の皆さんの自身の取組に対する思いや普段のお仕事風景、従業員の方々の笑顔を見ることができ、受賞者の皆さんが日々楽しみながら農林水産業に向き合っていることが伝わってきました。

主催者挨拶:國井正幸氏

「令和6年度農山漁村女性活躍表彰」の主催者である農山漁村男女共同参画推進協議会会長・國井正幸氏にご挨拶をいただきました。

「農林水産省の指標である『農業における女性の活躍推進について』によりますと、個人経営の場合、女性が経営方針の決定に関わっている割合はおよそ3割程度。女性の認定農業者は統計の3%です。男女共同参画社会基本法の制定から20年が経ちましたが、農山漁村における女性の参画の現状は依然として不十分であります。経営においても、女性の働きに応じた経済的評価や就農条件、地位の確立が進みつつあるものの、まだまだ十分であるとは言えません。本日受賞された皆さんの取組が、この現状を変えていく、社会に共有すべきモデルとなることでしょう。女性の能力がいっそう発揮され、女性が輝き、活躍しやすい社会になるように、これからもともに頑張ってまいりたいと思います。」

来賓祝辞:農林水産副大臣 滝波宏文氏

続いて、農林水産副大臣の滝波宏文氏ご祝辞をいただきました。

「受賞者の皆様、この度は誠におめでとうございます。皆様が積極的に取り組んでいる経営の多角化、女性の登用促進、農産物の加工・販売、女性の働きやすい環境の整備などは、いずれも農林水産地域の活性化につながる大変重要なものであり、皆様が果たしている役割は計り知れません。

また、大地の力コンペにおいては、高校生をはじめとする若い皆様から、SDGsの達成につながる、革新的で夢のあるアイデアがたくさん寄せられたと伺っております。農業の可能性の拡大につながることを強く期待しています。

昨年は25年ぶりに、農業の憲法と呼ばれる『食料・農業・農村基本法』が改正されました。新たな基本法の下で持続可能な農業を実現していくためには、今後の農業の未来を支える若者や女性の皆様お一人お一人が、柔軟な発想で農業の新たな可能性に果敢にチャレンジしていただくことが不可欠であると考えております。

農林水産省では長年、3月10日を『農山漁村女性の日』と定め、官民連携の下、様々な形で女性の活躍を広く発信しており、「農業未来DAYs」もその一環です。引き続き、女性や若手の皆様がその能力を存分に発揮し、活躍できるような環境整備を推進していく所存です。」

令和6年度農山漁村女性活躍表彰 表彰式

滝波農林水産副大臣からご祝辞をいただいた後、「令和6年度農山漁村女性活躍表彰」の表彰が行われました。表彰を受けたのは以下の19名の方々です。今回の表彰では、皆さんから受賞の一言コメントを頂きました。受賞した皆さんからは、日々の取組に対する思いや今後の抱負を発表していただきました。その言葉からは地域や活動への熱意を感じ取ることができました。

最優秀賞

農林水産大臣賞

女性地域社会参画部門(個人)
福岡県 みやま市
德永 順子様

女性地域社会参画部門(組織)
栃木県 大田原市
大田原市農業委員会
(代表・荒井 一夫様)

女性活躍経営体部門
青森県 三戸町
農業生産法人 株式会社 よしだや
(代表・吉田 清華様)

若手女性チャレンジ部門
栃木県 那珂川町
小林 千歩様

優秀賞

農林水産省経営局長賞

女性地域社会参画部門(個人)
埼玉県 秩父市
横田 友様

女性地域社会参画部門(組織)
福井県 大野市
公益社団法人 大野市シルバー人材センター
(代表・小野田 理夫様)

女性活躍経営体部門
徳島県 藍住町
株式会社 カネイファーム
(代表・矢野 正英様)

若手女性チャレンジ部門
大分県 豊後大野市
和田 梢様

地域子育て支援部門
滋賀県長浜市
ONE SLASH株式会社
(代表・清水 広行様)

水産庁長官賞

女性地域社会参画部門 (個人)
鳥取県 境港市
井本 慶子様

林野庁長官賞

女性地域社会参画部門(組織)
宮城県 富谷市
特定非営利活動法人 SCR
(代表・村上 幸枝様)

優良賞

全国農業協同組合中央会長賞

女性地域社会参画部門(個人)
北海道 厚沢部町
佐藤 美登子様

全国漁業協同組合連合会長賞

女性地域社会参画部門(組織)
福岡県 柳川市
両開漁業協同組合 女性部
(代表・田中 恵美子様)

大日本水産会長賞
 

女性地域社会参画部門(組織)
大分県 佐伯市
株式会社 漁村女性グループめばる
(代表・小谷晃文様)

農山漁村男女共同参画推進協議会長賞

女性地域社会参画部門(個人)
熊本県 合志市
福嶋 求仁子様

女性地域社会参画部門(個人)
宮城県 気仙沼市
三浦 悦子様

女性地域社会参画部門(組織)
山梨県 南アルプス市
山梨きら星ネット
(代表・齊藤 眞知子様)

女性活躍経営体部門
千葉県 富里市
株式会社 アグリシアJAPAN
(代表・津田 乃梨子様・津田 壮一郎様)

若手女性チャレンジ部門
埼玉県 さいたま市
合同会社 十色
(代表・サカール 祥子様)

審査委員長講評:岩崎由美子氏

農山漁村女性活躍表彰における全ての表彰が終わったところで、岩崎由美子審査委員長による講評がありました。

「女性地域社会参画部門(個人)では、德永さんが農林水産大臣賞を受賞されました。德永さんは農業委員会の会長としてご活躍され、農業委員会の総会後には勉強会を実施して委員一人一人の疑問点や意見を吸い上げたり、任期満了した委員には手紙を渡して労をねぎらったりしているそうです。みんなが楽しく活動できる体制を作り上げた点が素晴らしいと思いました。

女性地域社会参画部門(組織)では、大田原市農業委員会が農林水産大臣賞を受賞されました。女性農業委員で「チームあゆみ」を設立し、初心者向けの農機具講習会や農業経営スキルアップ講座など、学ぶ場を提供しています。その背景には「女性農業者への支援を更に手厚いものにしたい」という思いがあり、女性農業者から賛同の声が集まっています。

女性活躍経営体部門では、よしだやさんが農林水産大臣賞を受賞されました。従業員の7割が女性であり、管理職にも女性を起用するなど、女性活躍の取組が積極的に展開されています。代表の吉田清華さんご自身の出産や育児の経験を生かし、1時間単位で取得できる休暇制度や短時間勤務制度、育児介護休業制度を整備するなど、女性が働きやすい環境を整備しています。

若手女性チャレンジ部門では、栃木県の小林さんが農林水産大臣賞を受賞されました。小林さんは、農家に「嫁ぐ」ことが夢だったそうで、それを実現されました。しかし、結婚を機に大規模米農家で就農したものの、休みなくずっと働いても利益が少ないという現実に直面しました。そこで、いちごの栽培にチャレンジして売上を大幅に伸ばし、『よくばりでハッピーなバリキャリ農家の妻』という夢を叶えたそうです。」

4. フォーラム

概要

今回の「農林水産女性活躍表彰」では、受賞者の活動について皆で共有し、その活動内容や受賞者の思いを理解するために、新たな取組として、受賞者の取組発表プレゼンテーションや対談を行う「フォーラム」を開催しました。

フォーラムの前半では、農林水産大臣賞を受賞した德永順子さん、大田原市農業委員会「チームあゆみ」、よしだや代表の吉田清華さん、小林千歩さんがスライドを用いながら普段の取組や今後の展望について発表しました。取組の内容はもちろん、それぞれのお人柄が伝わってくる発表でした。農業を通してどんな地域社会を作りたいか、どんな人生を歩みたいか、希望を体現する皆さんの表情は生き生きと輝いていました。

後半は、農林水産大臣賞を受賞した德永順子さん、小林千歩さん、林野庁長官賞を受賞した特定非営利活動法人 SCRの代表である村上幸枝さん、水産庁長官賞を受賞した井本慶子さんと農林水産それぞれの分野の受賞者から、そして令和4年度に若手女性チャレンジ部門で農林水産大臣賞を受賞された金光史さんを特別ゲストとしてお呼びし、5名によるトークセッションが行われました。司会は、数多くの農業振興事業に取り組まれてきた、株式会社ユニークピース代表取締役社長の池本博則氏(現農山漁村女性活躍表彰審査委員)に務めていただきました。

トークセッションにおいては、「農林水産業をしてきた中での課題や困難」「今後に向けたアクション・思い」というテーマで語り合いました。立場も抱える課題も違う5人が、それぞれの体験を踏まえた意見を交換し、聴衆にとっても共感と学びのある内容となりました。最後は、会場の皆さんからも質問や感想を受け付け、温かいフォーラムとなりました。(会場で質問された方は、德永さんの菜の花オイル、大田原市農業委員会さんによるウドや紅茶、よしだやさんによるにんにく加工品、小林さんによるイチゴなど、農林水産受賞者が生産した農産品や加工品がプレゼントとして進呈され、会場は歓喜に包まれました!)

フォーラム:農林水産大臣賞受賞者 取組発表

取組発表-1

女性地域社会参画部門(個人) 福岡県みやま市 德永順子さん

「私は2002年に農業委員となり、2016年に福岡県内で女性として二番目となる農業委員会会長に就任しました。まず取り組んだのは、遊休農地の解消です。同じみやま市の農業委員とともに、何が捨てられているかも分からない荒れた農地を草刈り機で刈りながらきれいにしていきました。

そのとき「荒れた土地は人の心をも荒れさせる」と痛感し、遊休農地にカラシナを植えて、4反くらいある畑をハート型に刈り取りました。そこで取れたカラシナから「和スタード」という、マスタードとからしの中間のような調味料を開発。他の遊休農地では菜の花を栽培し、その菜の花を利用した「菜の花オイル」を開発・販売しています。

また、2013年には市の環境審議会委員に就任し、生ごみをメタン発酵するバイオマスセンター「ルフラン」の建設に携わりました。ここで生成される液肥は市民の家庭菜園などに活用されています。

今後取り組みたいことは、放置林問題の解決です。放置林は竹がすごく多いので、伐採して竹パウダーにする会社と連携し、問題を解決したいと思っています。」

取組発表-2

女性地域社会参画部門(組織) 栃木県大田原市 大田原市農業委員会「チームあゆみ」

「私たちは大田原市農業委員会・女性農業委員による「チームあゆみ」です。女性農業者の支援活動を行いたいとの思いから、令和3年11月に発足し、現在は6名で活動しています。

チーム名は、大田原市のイメージキャラクター・与一くんの妻である愛弓(あゆみ)さんから頂きました。愛ある楽しい農業、明るい農業を目指すという意味が込められています。

令和3年度から、農業初心者を対象に農機具の事故防止を目的とした農機具取り扱い、講習会を開催してきました。令和4年度からは、情報発信と販路拡大を目標とし、Instagramを活用した農業経営スキルアップ講座を開講しています。また、農業女子との意見交換会などを開催しました。これまでの活動が評価され、事例の発表や県内外から視察の依頼があるほか、私たちの活動が女性登用促進にもつながりました。

令和5年度の農業委員会では、女性委員が4名から6名に増えています。今後も女性ならではの視点を大きく生かして、農業分野での男女共同参画社会を広げるべく活動していきます。」

取組発表-3

女性活躍経営体部門 青森県三戸町 農業生産法人 株式会社よしだや 代表・吉田清華さん

「私は平成14年に新規就農した父親を手伝う形で就農しました。その後法人化し、平成30年に代表取締役に就任しました。「仕事を通じて多くの人をワクワクさせよう」というビジョンを掲げ、青森県三戸町で、にんにくの生産・加工・販売に取り組んでいます。

昨年春には、にんにく料理専門店「にんにくバル よしだ家」をオープンし、飲食店部門が加わりました。現在は従業員の約7割を女性が占めていることもあり、1時間単位で取得できる休暇制度や短時間勤務制度、育児介護休業制度を整備しています。同時に、作業を機械化して効率的な作業環境を整備することや、研修による人材育成にも力を入れているところです。

また、弊社は農福連携にも取組、身体的・精神的なハンディキャップに配慮し、個々の能力を生かす環境を整えるよう心がけてきました。このような取組を続けてきた結果、繁忙期にも関わらず多くの方々からご協力いただくことができるようになり、よしだやが地域の皆さんに支えられていることを強く感じています。今後の目標は、飲食店部門の経営を軌道に乗せることです。皆様に喜ばれ、感謝され、応援される集団になれるよう、今後も精一杯頑張りたいと思います。」

取組発表-4

若手女性チャレンジ部門 栃木県那珂川町 小林 千歩さん

「農家になることを夢見た私は、高校・大学で農業を学び、同級生の素敵な男性と結婚しました。当初は子育てに専念していたのですが、農業という仕事は想像以上に苦労が多く、収入が少ないという悲しい現実に直面します。

そこで私は、高収入が見込めるいちご農家として起業することにしました。その結果、1年目は技術を習得しながら栃木県の平均的な量を生産することができ、4年目以降はネット販売を積極的に導入することで売上を大幅に伸ばしました。現在では99%をネット上で販売しています。売上が上がったことでパートさんが来てくださるようになり、心の余裕もできました。

また、近隣保育園のいちご狩りの圃場提供、中学生の職業体験受け入れなど、農業の魅力を次世代に伝える活動にも積極的に取り組んでいます。現在は、就労支援で来ている方が農業にやりがいを感じてくれて「今後も働きたい」と言ってくださっていることが私たち夫婦にとっても喜びです。少しずつ業務分担しながら、みんなで楽しめるような支援企画の導入を考えています。農家の人たち誰もが豊かで楽しくいられるような、そんな活動を元気に続けていきたいです。」

フォーラム:トークセッション

池本:今日は皆さんとお話できてうれしいです。客席にも、農業と向き合っている方が多くいらっしゃると思います。そこで、農林水産業をしてきた中での課題や困難について伺いたいと思います。

德永:農業の課題はすごく多いのですが、やはりまずは高齢化や後継者不足が挙げられます。国で様々な課題解決に取り組む際に、現場の声を吸い上げていただけるとうれしいです。

池本:德永さんは様々な取組をされていますが、その情熱はどこからきているのでしょう?

德永:私は夫の実家が農家だったので、はじめは農業を嫌々やっていました。そんな下を向いて農業をしていた頃の自分や、今の若い方々に、「農業ってこんなに楽しいんだよ」と伝えたいんです。今の若い方はすごくやる気に満ちているけど、農地が借りられないなどの問題があります。そんな方々が楽しく農業に取り組めるよう、自分にできることをしているんです。

池本:そんな背景があったんですね。

池本:では、小林さんはどうでしょうか?

小林:私は課題や困難にぶつかったとき、まずは言葉にしてみます。「こういうことをやってみたいんです!」と発信していると、定期的にミラクルが起きるので。

池本:小林さんはいちご農家として起業したことで夢を叶えたそうですが、何がターニングポイントになったのでしょう?

小林:いちご農家を自分でやってみたかったけど、子育てをしていたからなかなか難しかったんです。でも「この状況で何ができるだろう?」と考え、できることから始めました。

池本:諦めなかったんですね。

池本:続いて、林業の分野から村上さんにお話を伺います。

村上:私が運営しているNPO法人SCRは、スマイル・チャレンジ・リレーションの頭文字で、特に課題や困難にぶつかった時は「チャレンジ」を大切にしています。例えば、私たちは元々林業をしていたのですが「新しい特産品として蜂蜜を作るのはどうか」という話があった時、それまで誰もやったことがないにも関わらず、里山でミツバチを育て始めたんです。その時休耕田を耕して、お花でいっぱいにして、そこから農業に携わるようになりました。

池本:「林業から派生した農業」というのは興味深いです。

池本:「林業から派生した農業」というのは興味深いです。続いて、水産業の分野から井本さんにお話を伺います。

井本:私は20年前に水産庁の出先機関に勤務したことがきっかけで水産業界に入り、長い間資源管理に携わってきました。水産業界は、女性の割合が極めて少ないことが課題です。その理由は、ロールモデルとなる女性の少なさや「水産は男性の仕事」という価値観が残っていること。その課題を解決すべく、自らがロールモデルとなって、水産に興味を持つ女性が増えるよう活動しています。あとは、多様性を重視した職場作りが大切だと思いますね。

池本:「ロールモデル」という言葉が出てきましたが、今ここにいる皆様がそれぞれの業界でロールモデルとなっていますよね。

池本:続いて、令和4年度に若手女性チャレンジ部門で農林水産大臣賞を受賞された金光史さんにお話を伺います。金光さんは愛媛県西条市でぶどうやキウイの果樹を栽培しています。金光さん、受賞後の変化はありましたか?

金光:受賞によって、「私がやってきたことを続けていいんだ」と思いました。私は畑の空間にいるだけで癒されるので、そういう人は多いのではないかと思い、一棟貸しの宿泊宿やサイクリングツアーなどの体験事業を取り入れた合同会社を立ち上げました。

池本:課題や困難にぶつかった時は、どのように乗り越えているのでしょう?

金光:農業って、病気で木が駄目になるなど、思わぬ障害がたくさんあるんです。だけど、そこで落ち込まずに次に切り替えていくことがすごく大切。山や海に行くなど、好きなことをして気分転換することの重要性を実感しています。

Q:今後に向けたアクション・思いを聞かせてください。

德永:これまで以上に多くの人を巻き込んで、男女の分け隔てなく楽しくやっていける仕組みづくりを考え、実際に行動に移していきたいと思います。

小林:私はいちごとレモンを作っているんですが、それらを続けつつ、子どもたちに農業体験の場を提供したいです。

村上:SCRでは数年前から農業体験に取り組んでいて、不登校の子供たちが農業を体験することで変化していく姿を目の当たりにしています。それを継続しつつ、子供だけではなく、例えば引きこもりの大人の方も受け入れていきたいです。また、針葉樹だけの公園を、鳥や生き物が集まる広葉樹の森にする取組をしているので、その成果を出したいです。

井本:水産業界は高齢化が進んでいてなかなか若い方が入ってこないので、今後は人材育成をするとともに、若い方が入りやすい環境づくりを目指しています。

金光:農業は他の様々な分野と掛け合わせることで面白くなると思うので、旅行会社と連携したツアーをやりたいです。農家というくくりではなく、農業が地域住民の暮らしに根付き、一人一人が農地を持つのが理想。そのための仕組みづくりに取り組んでいきたいです。

池本:皆さん、素晴らしい志をお持ちですね!

池本:では、会場の皆さんから質問や感想を受け付けたいと思います。質問や感想がある方は挙手をお願いします。

来場者:井本さんにお伺いしたいのですが、現場に入ることなく活躍するために、コミュニケーションの面で心掛けていることはありますか?

井本:水産業界では意思決定の場に女性がいることが少なかったので、女性というバイアスなしに関わってくれる方のことは本当に大切にしていました。私は「一期一会」をモットーに、一度名刺交換した方のことは決して忘れないようにしています。

来場者:感想ですが、ステージの上に農林水産業に携わる女性が並んだことに感激しています。農業だけではなく、林業・水産業といった第一次産業が連携することで、課題解決へのスピード感が生まれると思います。

来場者:德永さんに質問です。菜の花オイルはどんな味ですか?

德永:菜の花オイルはオリーブオイルに似ていますが、オリーブオイルよりやや優しい風味です。お日様の味がするとも言われます。製法にもこだわり、添加物を入れない一番搾りで作っています。

池本:これからの農業を担っていく皆さんから質問や感想をいただけてうれしいです。また、登壇者の皆さん、本日はすばらしいお話を聞かせていただきありがとうございました。

4. 第9回大地の力コンペ

コンペ概要

イベントの後半では「大地の力コンペ」が行われました。「大地の力コンペ」は、農業の課題や様々な社会課題を解決するアイデアを募集・表彰するものです。

第9回である今回は「農業×SDGs」がテーマ。書類による一次審査、インタビューによる二次審査を通過したファイナリストは、学生6組、社会人1組の全7組です。その7組が事前に作成した最終プレゼンテーション動画が上映されました。若い皆さんのイノベーティブなアイデアが光る動画ばかりでした。

トマト残渣をゴミから栄養資源へ
⼟壌研究研修班
愛知県⽴安城農林⾼等学校

放置竹林で農業を支える ~放置竹林と費用削減を目指して~
諫早農業高校 生物工学部
長崎県立諫早農業高等学校

食品残渣の農業活用による食品ロス"0“目標
諫早農業高校 生物工学部食品ロス活用班
長崎県立諫早農業高等学校

規格外金時豆を用いたビネガー作りと
規格外野菜の漬物作り

更別農業高等学校加工分会A
北海道更別農業高等学校

農薬の泡散布でSDGs に貢献
FLORA HUNTERS
青森県立名久井農業高

空き家活用のアップサイクル農業
カクノウ株式会社

水田の多数回中耕除草で農業の諸問題を解決
瀬戸南高校PioneerR.G.
岡山県立瀬戸南高等学校

コンペ結果発表

動画によるプレゼンが終わった後、いよいよ「大地の力コンペ」の結果発表が行われました。結果は以下の通りです。

  • グランプリ
    ・愛知県 愛知県⽴安城農林⾼等学校
    「⼟壌研究研修班」
  • 準グランプリ
    ・長崎県 長崎県立諫早農業高等学校
    「生物工学部 食品ロス活用班」
    ・青森県 青森県立久井農業高等学校
    「FLORA HUNTERS」
  • 奨励賞
    ・北海道 北海道更別農業高等学校
    「更別農業高等学校加工分会A」
  • 特別賞(未来の農業賞)
    ・岡山県 岡山県立瀬戸南高等学校
    「瀬戸南高校PioneerR.G.」
  • シーズ賞
    ・長崎県 長崎県立諫早農業高等学校
    「放置竹林対策班」
    ・兵庫県
    「カクノウ株式会社」
講評

藤井滋生氏

一般社団法人 未来農業創造研究会 副代表理事
株式会社アグリインキュベーター 代表取締役社長

「すばらしいアイデアが多く、ブラッシュアップしていけば事業化も夢ではないと思いました。今後も引き続き農業と真剣に向き合い、どんどん新しい時代を切り開いてください。」

西辻一真氏

株式会社マイファーム 代表取締役

「食品残渣をどう利用するか、放置竹林などの資源をどう利用するかなどは、大人も考えていることです。高校生の皆さんとは、数年後に一緒に仕事をすることになるかもしれません。ですから、同じ方向を向いてやっていく仲間だと思っています。」

山田敏詩氏

こと京都株式会社 代表取締役
元日本農業法人協会会長 日本食農連携機構副理事長 / 京都府農業経営者会議顧問 / 野菜流通カット協議会監事

「若者の方の農業に対する意識が高まってきていることを実感しました。ただ、良いアイデアであっても事業性がないと実現は難しいです。もう少しコスト面や金額的なことをプレゼンに盛り込んでいれば、よりすばらしかったと思います。今後の活躍に期待しています。」

5. 閉会挨拶

12. 閉会のご挨拶

最後に、納口るり子実行委員長より、閉会の挨拶がありました。

「前半は、農山漁村女性活躍表彰の受賞者の方々の様々なコメントが印象的でした。農林水産業に携わる女性の率直なご意見を聞くことができ、私もうれしく思います。

後半の大地の力コンペでは、ファイナリストの皆さんのレベルが高くて感動いたしました。生徒の皆さんはもちろん、指導をされた先生の情熱もすばらしいと思います。

ご参加いただいた皆様、本日は誠にありがとうございました。」

まとめ

「未来農業DAYs2025」はとても活気があり、参加者の皆様の笑顔が印象的なイベントでした。

皆様のますますのご活躍により、日本の農業はより一層輝いていくことでしょう。

受賞された皆様、本当におめでとうございます!