審査員
岩崎 由美子 氏
審査委員長
福島大学行政政策学類 教授/br> ●経歴● 埼玉県生まれ。早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。住民主体の計画づくり、農山村地域活性化、農村女性起業、震災からの地域復興などを研究。 主な著書として、『〈食といのち〉をひらく女性たち』(農文協、共著)、『食と農でつなぐ 福島から』(岩波書店、共著)、『小さな自治体の大きな挑戦-飯舘村における地域づくり』(八朔社、共著)、『女性の参画と農業・農村の活性化』(全国農業会議所)、『成功する農村女性起業』(家の光協会、共編著)など。
五條 満義 氏
東京農業大学国際食農科学科 准教授 ●経歴● 全国農業会議所に8年間勤務後、1997年年に東京農業大学専任講師、2003年に助教授、07年から准教授。 国の第2次・第3次・第4次の「男女共同参画基本計画」の策定作業をめぐり、内閣府男女共同参画会議専門委員を務めた。 著書に『家族経営協定の展開』(筑波書房・2003年)、『中国の大学と農村は今』(東京農大出版会・2008年)、『家族経営協定 最前線』(全国農業会議所・2010年)などがある。
平田 真一 氏
有限会社 平田観光農園 代表取締役 農のふれあい交流経営者協会 会長 ●経歴● 1965年8月長野県生まれ。 広島大学法学部卒業後、落合経営会計事務所に入社。 その後、有限会社平田観光農園に就職。 2006年7月に同取締役社長に就任、川西地区果実共同加工組合代表就任。 2010年7月に長野県中野市に、株式会社果実企画を設立、取締役就任。 2016年12月に株式会社イチコト設立、取締役に就任。 2020年4月に川西地区果実共同加工株式会社を設立、取締役に就任(すべて現任) 全国農業会議所が事務局を務める経営者組織「農のふれあい交流経営者協会」会長。
納口 るり子 氏
一般社団法人 未来農業創造研究会 代表理事 筑波大学大学院生命環境科学研究科 教授 ●経歴● 1957 年生 神奈川県小田原市出身。蜜柑農家の次女として誕生し、北海道大学農学部農業経済学科卒業。 その後、農林水産省の試験研究機関(東京・つくば・新潟県上越市)で 21 年間、先進農業経営者の経営管理や農家間の組織化などについて研究を行う。 2000 年から筑波大学にて、教育と研究に従事。
小川 理恵 氏
一般社団法人日本協同組合連携機構(JCA)主席研究員 ●経歴● 一般社団法人日本協同組合連携機構(JCA) 基礎研究部 主席研究員。1997 年に、前身である社団法人地域社会計画センターに入会。 総務課長、企画調整室長を経て研究職に職種転換、現在に至る。 研究分野は地域づくりと女性活動。 主な著書に『魅力ある地域を興す女性たち』(農文協、2014 年)、『事例から学ぶ 組合員と進めるJA自己改革』(共著、家の光協会、2018 年)、『営農経済事業イノベーション戦略論』(共著、筑波書房、2018 年)、他。
安形 京子 氏
(一社)全国農業経営コンサルタント協会 理事 安形税務会計事務所 税理士・行政書士 ●経歴● 福島県会津生まれ。当初名古屋市の社会福祉施設に勤務。 その後養豚農家に嫁ぎ農業の現状を知る。 会計事務所に勤務後1995年安形税務会計事務所を設立。 最初から農家の応援を使命と位置づけ愛知県農業経営改善支援センタースペシャリストに登録。 県の農業改良普及所、市の農政課、JA関係等からの依頼で会計及び税務の講師として従事。 農業関係の会計人の組織である(社)全農協に入会し農業簿記検定試験立上げメンバーに加わり、教科書作りや試験委員にて活動。 日本政策金融公庫農業経営アドバイザー上級試験合格、食Pro.取得、FP、経営革新等支援機関認定。 現在は愛知県農業経営相談所専門家に登録し、様々な農業経営者の相談にのりながら、日頃は税理士・行政書士事務所の経営に従事する。
令和2年度 農山漁村女性活躍表彰 結果一覧
受賞個人・団体一覧
種類 | 賞の名称 | 部門 | 県名 | 所在地 | 個人または団体名 |
最優秀賞 | 農林水産大臣賞 | A:女性地域社会参画部門 (個人) | 鹿児島県 | 出水市 | 澤田 たみ子 |
農林水産大臣賞 | B:女性地域社会参画部門 (組織) | 群馬県 | 神流町 | 奥多野生活研究グループ連絡協議会 | |
農林水産大臣賞 | C:女性起業・新規事業開拓部門
特別賞:ふるさと未来賞 |
千葉県 | 館山市 | 須藤 陽子 | |
農林水産大臣賞 | D:女性活躍経営体 部門 | 山口県 | 山陽小野田市 | 有限会社 グリーンハウス | |
農林水産大臣賞 | E:若手女性チャレンジ部門 | 群馬県 | みどり市 | 阿左美 咲紅楽 | |
農林水産大臣賞 | F :地域子育て支援部門 | 群馬県 | 昭和村 | グリンリーフ株式会社グループ | |
優秀賞 | 経営局長賞 | A:女性地域社会参画部門 (個人) | 香川県 | 多度津町 | 池内 靖子 |
経営局長賞 | B:女性地域社会参画部門 (組織) | 岐阜県 | 恵那市 | 恵那市農業委員会 | |
経営局長賞 | C:女性起業・新規事業開拓部門 | 山形県 | 朝日町 | ぱれっと企業組合 | |
経営局長賞 | D:女性活躍経営体 部門 | 富山県 | 富山市 | 有限会社 小原営農センター | |
経営局長賞 | E:若手女性チャレンジ部門 | 福岡県 | 久留米市 | 角 美紗 | |
林野庁長官賞 | F :地域子育て支援部門 | 北海道 | ニセコ町 | 澤田 佳代子 | |
水産庁長官賞 | A:女性地域社会参画部門 (個人) | 千葉県 | 富津市 | 礒貝 由美子 | |
優良賞 | 全国農業協同組合 中央会長賞 |
A:女性地域社会参画部門 (個人) | 宮 崎県 | 諸塚村 | 七ツ山婦人加工グループ |
全国森林組合連合会長賞 | E:若手女性チャレンジ部門 | 静岡県 | 島田市 | 株式会社 兵庫親林開発 | |
全国漁業協同組合連合会 会長賞 |
A:女性地域社会参画部門 (個人) | 福井県 | 福井市 | 福井市漁協女性部 | |
農山漁村 男女共同参画推進協議会 会長賞 |
A:女性地域社会参画部門 (個人) | 熊本県 | 熊本市 | 村上 浮子 | |
B:女性地域社会参画部門 (組織) | 愛媛県 | 今治市 | しまなみグリーン・ツーリズム推進協議会 | ||
C:女性起業・新規事業開拓部門 | 福岡県 | 大牟田市 | 安達 彩 | ||
D:女性活躍経営体 部門 | 群馬県 | 千代田町 | 田中 久美子 | ||
E:若手女性チャレンジ部門 | 石川県 | 金沢市 | 多田 礼奈 | ||
特別賞 | ふるさと未来賞 | C:女性起業・新規事業開拓部門 | 千葉県 | 館山市 | 須藤 陽子 |
受賞者紹介
農林水産大臣賞
女性地域社会参画部門(個人)
澤田 たみ子
最優秀賞
農林水産大臣賞
女性地域社会参画部門(個人)
鹿児島県 出水市
非農家出身。結婚後7年目に本格的に就農、夫とともに有機農業に取り組む。
昭和63年から特別栽培米を生協等へ販売、消費者交流や農業体験に取り組む。
平成11年に加工施設を整備し、加工組織を設立。
平成28年に加工施設を新設し6次産業化に取り組む。
平成12年夫の他界後、経営を継承、女性農業経営士に認定される。
平成15年、米で有機JAS認証を取得し、鹿児島県有機農業協会の理事として、有機農業の推進、普及啓発に貢献。
平成29年後継者夫婦と家族経営協定を締結、認定農業者の共同申請を行い、現在も農業経営に参画。
平成23年,鹿児島県生活研究グループ連絡協議会会長に就任、後継者の確保・育成に尽力。
全国生活研究グループ連絡協議会理事。
農林水産大臣賞
女性地域社会参画部門(組織)
奥多野生活研究グループ連絡協議会
最優秀賞
農林水産大臣賞
女性地域社会参画部門(組織)
群馬県 神流町
複数の生活改善グループを母体として昭和60年に発足。
知識の習得のほか、地元の加工施設を核に、地域農産物を用いた特産品作りに取り組む。
また、若い世代への伝統料理の継承や地産地消の推進を目的に「奥多野の味伝承講習会」を開始。
地元メディアを通じて講習会の様子を放映し、地域住民への郷土理解を促している。
会員の多くは、地域おこし協力隊やIターン移住者の定住支援や就農相談にも携わり、現在、県外からの移住者を含めた20代~70代までの幅広い年代の女性によって活動が行われている。
移住を機に加入した会員がグループの活動を担うほか、農業委員として活躍するなど、今後の地域農業を牽引し中核となる人材の育成にも繋がっている。
須藤 陽子
最優秀賞
農林水産大臣賞
女性起業・新規事業開拓部門
千葉県 館山市
平成13年に酪農教育ファームに認定され、体験事業部門を導入し経営の多角化を図る。
また、フリーストール牛舎の建設や、自動給餌機などの導入により、労働時間が大幅に短縮、休日の確保や安全で快適に働ける作業環境を実現。
後継者が事業に参画するにあたり、自宅にアイスカフェをオープン、直営店舗の出店や業務需要の拡大など、攻めの経営を展開。6次産業化部門の売上は大きく伸び、雇用創出や商工会との連携強化など、地域の活性化にも大きく貢献。
小学校講師だった経験を活かし、酪農体験事業をとおして、地域の子供や都市住民に『命を育む心』を伝えることをライフワークとし絵本を自費出版するなど、社会の課題と向き合い酪農業の持つ価値を高めている。
農林水産大臣賞
女性活躍経営体部門
有限会社 グリーンハウス
最優秀賞
農林水産大臣賞
女性活躍経営体部門
山口県 山陽小野田市
創業から一貫した経営理念のもと、地元女性や若者を積極的に雇用するとともに高品質なネギを主力商品として経営規模を拡大している。
他に先駆けて女性が活躍できる職場環境や人材育成の仕組づくり、休暇や能力評価等の各種制度の充実など、資質向上や能力発揮の場面づくりに取り組む。
性別を問わず若い人材を積極的に雇用して育成し、役職員に登用。自社で女性社員のロールモデルを育成し、後進の女性社員がキャリアプランを描き、実践できるようにしている。
働きやすさを維持しながら利益を追求し、雇用の拡大や昇給等によって地域や社員に還元。
農業で豊かな暮らしを実現させる好循環を生み出す経営スタイルは、県下の多くの農業経営体が目標とするところとなっている。
農林水産大臣賞
若手女性チャレンジ部門
阿左美 咲紅楽
最優秀賞
農林水産大臣賞
若手女性チャレンジ部門
群馬県 みどり市
平成19年にトマト農家の後継者と結婚、就農。
水耕栽培に切り替え、JA出荷の他、自宅に直売所1号店を開設。
ミニトマトの他に近県や市内の業者で委託製造したジュースやドレッシング等12種類を取扱う。
人気商品のミニトマトジュースは、みどり市ブランド認証商品に認定。
平成25年の経営移譲後規模拡大し法人化、現在パート職員28名、直売部門では13名を雇用。
平成26年の気象災害(竜巻・大雪)で栽培用ハウスと水耕設備のほとんどが倒壊したが、委託製造の一時中止やトマト以外の野菜の生産を行いながら経営を立て直し、平成29年には直売所2号店をオープン。
地域の女性農業者のネットワーク組織が主催するフォーラムで事例発表をする等、若手女性農業者のモデル的存在。
農林水産大臣賞
地域子育て支援部門
グリンリーフ株式会社グループ
最優秀賞
農林水産大臣賞
地域子育て支援部門
群馬県 昭和村
女性従業員の職場復帰の支援のため、農業法人としては全国に先駆けて平成28年に事業所内託児所を開設。
生後6ヶ月から子どもを預けられ、希望するタイミングで職場復帰を果たせる。
国からの補助金と企業負担により保育料は無料で、子育て世帯の経済的負担の軽減も図る。
託児所の開設後は新たに60名の雇用に繋がるなど、大きな成果を上げている。
仕事と子育てを両立するための制度が充実しており、女性従業員の定着率も高い。
託児所を敢えて会社の真ん中に設置し、商談の様子やトラクターで畑を耕す姿など、働く大人の姿を間近で見ることができ、子どもたちの健全な職業観の育成にも役立っている。
先進的な取り組みは今後も地域農業への貢献が大いに期待される。
経営局長賞
A:女性地域社会参画部門
池内 靖子
優秀賞
経営局長賞
女性地域社会参画部門(個人)
香川県 多度津町
北海道から香川県に嫁ぐ。
生活研究グループでの活動を通して、県の郷土料理について学び、平成8年度から先駆的に食育活動を行う。
小中学校などで地産地消と郷土料理の講師として活躍する一方、子育て中の若い世代との交流にも努め、郷土料理を伝承する活動も継続。
平成25年に、生活研究グループの会員14名で「多度津さくら工房」を立ち上げ、町内産の農産物を活用した加工品を商品化、ふるさと納税の返礼品にも採用される。
平成19年度「香川県むらの技能伝承士」、平成20年度「さぬきの食文化博士」に認定され、平成22年度「普及指導協力員」に委嘱される。
食育活動等の指導者の育成にも尽力、グループ内から8名が「香川県むらの技能伝承士」に登録された。
経営局長賞
女性地域社会参画部門(組織)
恵那市農業委員会
優秀賞
経営局長賞
女性地域社会参画部門(組織)
岐阜県 恵那市
恵那市農業委員会の女性農業委員数は、令和元年11月の委員改選により6名に増加し、農業委員19名中の女性の割合は31.58%と、県内最多となった。
改選前から5名の女性農業委員が活躍し、女性登用の先進的な取り組みを行っており、改選で女性登用を前進させ、第4次男女共同参画基本計画で定める農業委員に占める女性の割合30%の目標達成に至った(県内では2委員会のみ)。
活動内容は、法令業務に加え、女性ならではの視点を活かし、農業委員会広報誌の編集・発行、農業者年金加入推進、家族経営協定普及など、農業委員会の多様な活動を牽引し、多数の優良事例を創出し、成果を上げている。
経営局長賞
女性起業・新規事業開拓部門
ぱれっと企業組合
優秀賞
経営局長賞
女性起業・新規事業開拓部門
山形県 朝日町
昭和53年、農協女性部内に加工部が誕生、かつて家庭で作られていた町の伝統食「凍み餅」や漬物づくりを開始。
平成11年、特産のりんごの付加価値と農業所得の向上を目的に、ジュース加工を開始、平成28年加工事業を独立させ、企業組合を設立。
当該組織の商品は、産地直売所の定番商品として、伝統食の加工技術を保存・継承し、現代に伝えている。
町の風物詩となっている凍み餅干し作業や、町内の小中学校や保育園にジュースを寄贈する活動は、食文化を伝える活きた食育活動として評価される。
原材料確保のため、メンバーが収穫作業の支援や、自ら栽培に取り組むなど、高齢化や農業者の減少が進む農村地域の持続的発展にも寄与するなど、優れた6次産業化モデル組織。
経営局長賞
女性活躍経営体部門
有限会社小原営農センター
優秀賞
経営局長賞
女性活躍経営体部門
富山県 富山市
創始者の理念「豊かな自然環境と調和した持続的な農業」を30年近く貫き、有機農業を実践している担い手経営体。
有機栽培技術の県内の事例が少ない作目も、独自の技術を確立し、中山間地域でありながら安定した生産量を確保。
地縁・血縁がない中で、一従業員である女性が役員になり代表を務めることは、県内の担い手経営体において皆無であり、新たに農業にチャレンジする女性にとって、魅力的な経営体となっている。
若手従業員に対しては、会社の後継者としての経営感覚を養うなど人材育成に取り組む。
構成員の1/3が子育て世代の女性であることから、産育休暇制度の制定や産休前の雇用契約内容の見直しなど、働きやすい環境づくりを実践している。
経営局長賞
若手女性チャレンジ部門
角 美紗
優秀賞
経営局長賞
若手女性チャレンジ部門
福岡県 久留米市
祖父と両親が経営していた農園を継ぐため、日本農業経営大学校で経営を学ぶ。
在学中に観光農園を軸に農園のブランド化を着想、平成29年3月就農、ブドウ部門とイチゴ部門を設立。ドライフルーツ等の加工品開発を行う。
平成30年11月に、カフェを開業。スタッフは全員女性で、SNSを活用、情報発信を積極的に行う。
イチゴの園地では高設栽培を導入しベビーカーも通ることができるよう道幅を広げ、ナシの園地では低樹高ジョイント栽培を一部導入、背の低い子供や車いすでも収穫できるようにするなど、農園づくりを行う。
また、常勤職員6名のうち1名は障がいを持っており、農福連携にも取り組む。令和元年から、久留米市食料・農業・農村政策審議会委員を務める。
林野庁長官賞
若手女性チャレンジ部門
澤田 佳代子
優秀賞
林野庁長官賞
若手女性チャレンジ部門
北海道 ニセコ町
平成27年に地域おこし協力隊員としてニセコ町に移住。シラカバの樹皮やトドマツの葉など、用途が限られた林地未利用材を活用し、付加価値を高めた商品開発に取り組んでいる。
その理念や商品を通して、森林・林業への人々の関心を高め、ニセコ町の特産品として、地域の魅力向上と産業振興に対し大きく貢献している。
地域の林業関係者と連携しながら積極的な技術革新に努めるなど、今後の発展も望まれる。
また、多様な木育活動を通じて、多くの方に地域の自然や森林の大切さを伝え、森林・林業に対する理解促進を図る活動を通して、地域の保護者や子どもたちの間に繋がりを生み出しており、子育て支援、地域振興、地域活性化へと繋がっている。
水産庁長官賞
女性地域社会参画部門(個人)
礒貝 由美子
優秀賞
水産庁長官賞
女性地域社会参画部門(個人)
千葉県 富津市
他業種で10年ほど働いた後、父親の刺し網漁船に乗り、操業を手伝う。
夫も結婚を機に婿入りする形で、父親の漁を本格的に手伝い漁業者となる。
15年ほど父親と刺し網漁船に乗り漁業技術を学んだ後、夫とサヨリ2そう引きにも乗り、「夫婦船」として本格的に操業。
女性が船に乗ることへの周囲の反応は厳しかったが、女性が漁業に参加することで高品質な漁獲物が流通しているとの声が聞かれるようになる。
夫とともに真摯に漁業に取り組む姿勢は周囲を動かし、現在地域には10組以上の夫婦船が操業。
女性漁業者が漁獲物の丁寧な取り扱いが得意な事、鮮度管理の徹底等で漁獲物の付加価値を上げる事など成果を示し、地域に溶け込む努力で後輩たちへの道を開いたことへの評価は大きい。
全国農業協同組合中央会長賞
女性地域社会参画部門(組織)
七ツ山婦人加工グループ
優良賞
全国農業協同組合中央会長賞
女性地域社会参画部門(組織)
宮崎県 諸塚村
昭和57年に諸塚村婦人連絡協議会七ツ山婦人会の下部組織としてグループを設立。
地元農産物の付加価値向上と有効活用を目的に、原料の栽培から調達、商品開発、販路拡大など精力的に活動を展開し、数多くの商品を生み出したほか、宮崎日日農業技術賞や諸塚村森林文化賞を受賞した。
また、諸塚村主催のエコツーリズムや農山村生活が体験できるエコツアー、子どもたちを対象としたエコスクール等の事業にも参加し、県内外や次世代を担う子どもたちに対する地域の魅力発信や食農教育にも寄与している。
本活動は、地元農業の活性化や、生涯現役をめざすメンバーや地域住民の生きがいの場となり、地域活性化やJA女性部活動活性化にも大きく貢献している。
全国森林組合連合会長賞
若手女性チャレンジ部門
株式会社 兵庫親林開発
優良賞
全国森林組合連合会長賞
若手女性チャレンジ部門
静岡県 島田市
これまで、女性が携わることが少なかった業種の中で、若手女性が代表として団体を率いて精力的に活動している。
「林業の魅力」を伝えることが使命、知ってもらうことが林業従事者の自信になり、地位向上や就業率アップ、業界全体の底上げになるとの思いで、伐採見学会や女性林業従事者との座談会の開催など、新たな視点・発想により林業の魅力を広く伝えている。
「生産量の増加又は生産性の向上」の取り組みや「コンプライアンスの確保」等、一定の基準を満たす経営体として、静岡県により“「意欲と能力のある林業経営体」へと育成を図る林業経営体”に選定されており、若手女性経営者の柔軟な発想で地域に新しい風を吹き込み、地域の振興と活性化につながっていくことが期待される。
全国漁業協同組合連合会長賞
女性地域社会参画部門(組織)
福井市漁協女性部
優良賞
全国漁業協同組合連合会長賞
女性地域社会参画部門(組織)
福井県 福井市
昭和32年に発足。前浜で水揚げされる「新鮮で安心・安全な地魚」の提供と消費拡大を図るため、魚食普及活動に重点を置いて活動している。
公民館や学校等で、部員が開発したレシピによる「魚のさばき方と魚料理教室」の開催、県・福井県漁業協同組合連合会・福井県漁協女性部連合協議会が連携して取り組む全国的にも珍しい「中学3年生にせいこがにを食べてもらう」特定水産物提供事業の取組では、出前講座で、せいこがにのさばき方を指導する。
福井県の誕生日の記念行事での伝統魚料理の提供や、地域の汐いかを商品化・商標登録し、その売上げを資金源に、福井産の天然ワカメ加工にも取り組むなど、漁家収入の向上を図るとともに、地域の活性化に尽力している。
農山漁村男女共同参画推進協議会会長賞
女性地域社会参画部門(個人)
村上 浮子
優良賞
農山漁村男女共同参画推進協議会会長賞
女性地域社会参画部門(個人)
熊本県 熊本市
地元JA女性部での経験を活かし、会員47人で農産加工女性グループを平成13年に設立、初代会長を務める。
平成19年に「株式会社オレンジブロッサム」を立ち上げ、特産であるミカンの機能性に着目した様々なオリジナル商品を開発。
大手通販会社との取引を開始するなど販路の拡大に取り組む。
また、地域でも豊富な地域資源と女性ならではの感性を活かし、直売会や、観光体験イベントを開催、地域活性化に貢献。
熊本県農業女性アドバイザー、熊本市営農生活研究グループ会長、熊本県認定農業者連絡会議初代女性部長として、県内各地の女性農業者のネットワークづくりに取り組み、若手果樹農家への栽培技術の支援や指導にも尽力。
農山漁村男女共同参画推進協議会会長賞
女性地域社会参画部門(組織)
しまなみグリーン・ツーリズム推進協議会
優良賞
農山漁村男女共同参画推進協議会会長賞
女性地域社会参画部門(組織)
愛媛県今治市
しまなみ海道のすべての橋の開通をきっかけに、「島の農山漁村の暮らしを体験してほしい」と平成12年に結成。
今治市及び上島町の生活研究協議会の会員が中心となり、農業体験や郷土料理体験が中心の32メニューからスタート。
メニュー数を65まで増やし、年間7万人が体験メニューを利用する。受け入れの障害となる県の条例や規制・基準に対し、県民から緩和を提案できる「えひめ夢提案制度」に提案、県内の多くの農家レストランや農林漁家民泊が誕生する契機となり、県のグリーン・ツーリズムに大きな影響を与えた。
平成14年度から教育旅行、26年度からは海外の教育旅行の受入れも開始。
令和元年度には体験及び民泊で13校1,290人を受け入れ、若者へしまなみ地域の魅力を発信し続けている。
農山漁村男女共同参画推進協議会会長賞
女性起業・新規事業開拓部門
安達 彩
優良賞
農山漁村男女共同参画推進協議会会長賞
女性起業・新規事業開拓部門
福岡県大牟田市
非農家出身。結婚を機に夫の祖母の野菜作りの手伝いから、農業に興味を持ち、平成23年に新規参入で、イチゴの土耕栽培を始める。
負担軽減のため、高設栽培に切り替え、独自の施肥方法等の技術改善と規模拡大の結果、就農9年で売上を313%に増加させた。
平成30年には、JAいちご部会の支部長となり、女性のみの栽培管理の研修会や現地講習会、交流会を実現。
また、高設栽培を希望する研修生や、インターンシップによる学生、内外からの視察研修の受け入れを行い、若手農家の育成や、農業の魅力発信に貢献している。
平成29年に加工所をオープンし、地元特産のブランド果実を使ったフルーツソースやドライフルーツを生産。夏場に加工品を製造することで、従業員の常時雇用も実現させた。
農山漁村男女共同参画推進協議会会長賞
女性活躍経営体部門
田中 久美子
優良賞
農山漁村男女共同参画推進協議会会長賞
女性活躍経営体部門
群馬県千代田町
昭和59年結婚を機に就農。ライフプランの作成や農業簿記を学んだことをきっかけに、経営を見直し、新たに農地を借入、米麦の生産を2倍の面積にするなど、規模拡大を図った。
平成22年に夫と家族経営協定を締結。経営の役割分担や労働時間等を定めたことで、経営規模を維持しつつ、労働時間の短縮と休日の取得を可能にした。
以後、後継者の就農・結婚、娘婿の就農などの機会に、家族経営協定を有効に活用し、経営の規模拡大と後継者育成を図り、地域の中核を担う農家へと経営を発展させる。
平成23年からは農業委員を2期務め、平成26年には知事認定の群馬県農村生活アドバイザーに就任。
若い世代の技術習得や経営意識の向上を後押しし、女性の経営参画を推進している。
農山漁村男女共同参画推進協議会会長賞
若手女性チャレンジ部門
多田 礼奈
優良賞
農山漁村男女共同参画推進協議会会長賞
若手女性チャレンジ部門
石川県金沢市
23歳で新規就農し、亡き祖父の名を冠した農園を立ち上げ代表に就任。
令和元年、父と認定農業者に認定され、祖母と3人で、ゆず、加賀野菜「ヘタ紫なす」、水稲等の複合経営に取り組む。
JA金沢市金沢柚子部会に加入、産地規模の縮小傾向に危機感を持ち、就農1年目に金沢ゆずの魅力を発信するイベントを企画。
関係機関、県等の協力を取り付け、就農2年目に、第1回「金沢ゆず香るん祭り」を開催。以後3年間の平均来場者が5千人を超える、魅力的なイベントとなる。
また、祖父から託された「ヘタ紫なす」の産地再生のため、ただ一人の作り手から技術を学び、知名度向上を目指しイベントを開催。
産地再生、地域の活性化の若きリーダーとして今後も活躍が期待される。